ひろしの視点
HIROSHI’S POINT OF VIEW
ひろしの視点
2017/06/23
北陸新幹線 京都南回りルート決定 ~ 松井山手に新駅! ~
北陸新幹線の京都から新大阪へのルートが、与党の整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(PT)において3月15日に正式決定され、京田辺市松井山手駅付近を通る京都南回りルートが採用されることになりました。
与党PTでは、検討委員会委員長の西田昌司参議院議員が京都南回りルート実現に向けて尽力し、私たち自民党としても、また、京都六区の12市町村も一致団結して、実現に向けての要望活動をしてきました。ルート決定をすることができたのは、まずうれしく思っています。
しかし、まだまだ課題は山積しています。敦賀以西の着工時期は2031年以降。今から14年も先です。更に全線開通は2046年。実に30年後という計画です。
これだけ時間がかかる大きな理由は財源です。整備新幹線の建設費は、運営主体であるJRが支払う部分を除き、国と自治体が2対1の割合で負担することになっています。そのために、国と自治体双方の財源と、JRが負担する部分は財政投融資等を活用しての財源確保をする必要があります。
現在の国土交通省鉄道局の整備新幹線建設予算は、わずかに755億円。それに対して、北陸新幹線の敦賀~新大阪間の概算建設費は、約2兆1千億円。これではなかなか建設が進まないのもうなずけます。北海道新幹線の新函館北斗~札幌間が完成する2030年末までは、新路線を建設する予算がないために、着工が2031年からということになっているのです。国の財政が厳しく、いわゆるプライマリーバランス(単年度収支)の黒字化へ向けて、あらゆる経費の削減に取り組んでいる結果、未来に向けての投資をすることもできなくなっているのが日本の現状です。
かつて、東海道新幹線を建設した時には、昭和34年に着工して、昭和39年に開業しています。着工から開業までわずか5年。この時は、世界銀行から借金をして建設しています。将来の日本の発展のために、高速鉄道が絶対に必要であるとの信念のもとに、この投資を決断した当時の政治家をはじめ関係者の英断には、心から敬意を表したいと思います。
その当時から見ると、今の日本の経済状況は比較にならないほど良くなっています。世界銀行から借金する必要もなく、国内において資金調達することができます。環境アセスメントや機材・資材・人材の確保という課題は解決しなくてはなりませんが、財源については、その決断さえすれば確保することができます。そうすれば、30年後などと言わず、10年以内には開業まで至ることも可能ではないか。そのように考えています。
米国では、トランプ大統領が就任演説において、公共事業の大幅な増加について語りました。その後も、10年間で1兆ドル(ざっと100兆円以上)の公共事業を実施することを発言しています。
鉄道や道路などの整備をすることは、短期的には景気対策となり雇用創出と地方への利益の分配をもたらします。長期的には、これらのインフラを利用して民間の活力を増大する効果が期待できます。国土全体の均衡ある発展のためにも、インフラ投資は極めて重要です。米国が巨額のインフラ投資をするのに対し、日本は極めて抑制的です。これが将来の経済力の差となって表れてくるのは間違いないと思います。そのようなことにならないためにも、財源確保と開業前倒しはこれからの大きな政治課題となってきます。
もう一つ大きな課題と言えるのは、松井山手駅に接続する鉄道や道路の整備です。北陸新幹線京都南回りルートは、京都南部12市町村が一丸となって要望してきた事項ですから、それぞれの市町村に恩恵が行き渡るようにしなくてはなりません。当然JR片町線(学研都市線)の複線化は実現しなくてはなりませんし、松井山手駅へ至る東西を結ぶ鉄道も考える必要があるでしょう。また、関西学術研究都市の未整備部分も整備に向けての検討が必要ですし、道路についても整備しなくてはなりません。
これらの全ての案件について、必ずついて回るのが財源の話です。私は、今の日本の閉塞感の根底に共通しているのは、この財源、財政問題だと感じています。本当は全く心配がないのに「財政が破綻する」と不安を煽り必要な投資が行われない。また、年金医療介護などに安心感を与えることができずに、国民は将来に対する不安を感じています。
この現状を打破するための政治活動を、これからも行っていきたいと考えています。
-「ひろしの視点」第31号(2017年3月)より-